小坂うに店

Column
小坂雲丹店喫茶室だより
1986(昭和61)年、小坂うに店は、
八幡半島の馬ノ瀬に加工場を併設した
販売所を作りました。
観光バス旅行が主流だったかつてに比べると、
店を訪れるお客様はめっきり減りましたが、
壱岐島ならでのゆるやかな空気は、今なお健在です。
いつか皆様とお会いできたらという願いを込めて、
徒然なるままにお届けします。
2023.11.02

やはたの海女さん

初めまして、2代目の眞&恵子の長女の小坂章子と申します。フリーのライターとして福岡を拠点に取材・執筆活動をしています。主なフィールドは喫茶店や珈琲、手仕事によるものづくり。自然から得た材料で何かを作る仕事、市井の人々の普通の暮らしに何より興味があります。

故郷の海女さんの仕事もその一つ。2010年には雑誌『手の間vol.8』にて、「農と食を巡るお話 −やはたの海女さん– 海と、祈りと、共に生きる。やはたの海女さんの仕事と生活。」というページを作りました。岩場から手探りで雲丹を捕る「陸磯」と、水深の深い船から潜る「船磯」の取材を通して、心に残った海女さんの素敵な言葉たちをご紹介しますね。

「体ひとつで潜ることについては職業と思うとるけん、辛いとも何とも思わん。あたしは、まーだ泳ぎたい」
「同窓会の時、旅から帰ってきた人はきれいな格好しとるけど、自分は肌も真っ黒でお洒落もせんで普段着たい。若い頃は、なんで海女を習ったとやろうかと後悔もしたばってん、今は海女の仕事ば誇りに思う。自信を持って話せるよ」
「みんなと一緒に昼ご飯を食べるとは楽しいね。桶の中身は、何もなかっても」